【読書メモ】「心理マーケティングの基本」

「この1冊ですべてわかる 心理マーケティングの基本」を読みました。

 

この1冊ですべてわかる心理マーケティングの基本

 

 

  

「心理マーケティング」とは?

 

心理マーケティングとは、数あるマーケティングの手法の中でも、特に顧客の心理にフォーカスしたマーケティングの種類のことです。

 

私は「2018年4月に目指す姿」として「常にユーザーファーストなサービス作りを心がけられるようになる」ということを挙げているので、この本を読みました。

  

本書では、大きく分けて

  • 「みる」テクニック
  • 「きく」テクニック
  • 「感じる」テクニック
  • オンラインでの調査テクニック

の4つのテクニックについて述べられています。

どれも主にユーザーを調査する際に必要になるテクニックで、定性的なデータの取り方について説明されていました。

 

1〜3はオフラインでユーザーと対面して調査する際について述べられています。

心理マーケティングの重要性 

ウェブサービスでは、定量的なデータ分析、いわゆるデータドリブンなマーケティングができる人が重宝されていて、ウェブ業界に携わる人であればマストで勉強しなければならないことだと思います。

定量的なデータ分析については、統計やGAを再来月から勉強していきます)

 

ですが、この本を読んでみて定量的な分析には限界がある、ということもわかりました。

定性的な調査からでしか得られないデータがある

「ユーザーがアプリをどんな瞬間に」「どんな風に」利用しているのかということは、実際に会って話を聞いたり、使用しているところを見せてもらったりしなければ得られないことも多い、ということに気がつきました。

 

たとえば、あるアプリのあるボタンがとっても小さくて押しにくく、私は小指で押しています。

ですが、「押せている」状態なので、おそらく運営としてもクリック数をトラッキングしただけではユーザー(私)が感じている不便さに気がつきません。

こういうところを知るためにも、たとえウェブサービスであってもオフラインでのユーザー調査は必須になってくるのかな、と思います。

 「みる」テクニック

「みる」テクニックでは、エスノグラフィーを用いて顧客を観察し、顧客心理のデータを得る、という方法について述べられています。

 

エスノグラフィーというのは、人類学で用いられる調査法で、簡単にいうと「行動を観察する」と言うことです。

 

(ちなみに私が大学で専攻しているのがまさに人類学なので、エスノグラフィーという手法は、3年くらい前からめちゃくちゃ使っています。先週は料理教室に潜入して、先生や生徒の行動をひたすらメモる、というエスノグラフィーをやってきました。ずっとやってきたことが、まさかマーケティングに使える技術だと思わなかったので、びっくりです)

どのような課題に適しているのか

エスノグラフィーを使用するのは

  1. 慣習性が高く、利用場面や使い方が何通りも想定できるカテゴリ
  2. 顕在化した意識を表出しにくい、または意識と行動のギャップが大きいターゲット
  3. 社会的正義のバイアス・不協和が起きやすいテーマやカテゴリ

です。

 

ウェブサービスに当てはめてみると、

  1. カレンダーやタスク管理アプリ
  2. 思い浮かびませんでした。ヘルスケア領域とかですかね…
  3. ダイエットアプリや勉強アプリ

あたりになるのかなと思いました。

1は、利用頻度が高すぎるあまりにユーザーにアンケートをとっても全て網羅しきれないこと、3は、ダイエット番組などでおデブちゃんが偽りのレコーディング記録を出したり、夜中にこっそり爆食いしたりしているところを思い出しました。こういうカテゴリでは、「よく見られたい」心理がバイアスとなって、アンケート調査に偽りの解答を書いてしまうようです…

どういうふうにやるのか

方法としてはエスノグラフィー、つまり観察です。

ノートと鉛筆、iPhoneのボイスメモを使って、ユーザーが実際に使用しているところを観察します。 

ユーザーがサービスを利用している動作だけでなく、その部屋の騒音などにも気を配ることで、アプリであればBGMや効果音への工夫のアイデアも生まれてきそうです。

「きく」テクニック

「きく」テクニックでは、インタビュー調査のことが述べられていました。

インタビュー調査では、なんとなく「質問を作って」「話を聞く」のではなく、必ず仮説を立てて、それを検証できるようなデータをとるために準備して挑む必要があるようです。

 

またインタビューをする、となると、つい「このアプリの使いやすさはどうですか?」「不便だと感じることはありますか?」などと「欲しい解答が手っ取り早くもらえそうな」質問を投げかけてしまいます。

ですが、この「使いやすさ」や「不便」といった、曖昧なワードを使用すると、ユーザーは「操作性?理解性?習得性?どれのこと言ってんの?」と混乱したり、自分なりに勝手に定義付けてしまいます。

そうすると本当にユーザーが困っている課題に触れることができません。

プローブを用いてインタビューする

そのため、「プローブ(探針)」を用いて、一歩踏み込んだ質問をすることが必要なのだそうです。

質問を投げかけた後に、「具体的には?」「例えると?」「人に勧めるとしたら?」「他には?」などと言ったプローブを用いることで、一歩踏み込んだ深い解答を得ることができます。

「感じる」テクニック

「感じる」テクニックの章では、文字通り「ユーザーが感じた」ことを探ったり、それを分析したりする方法について述べられていました。

言葉だけを信じるのは危うい

口頭で「買いたい/使いたい」と言っていても、本当に購入するかはわかりません。

言葉だけでなく、使っている時の表情や、手の動き(イライラしたそぶりで連打したりしていないかなど)に注目したりすることで、言葉の信憑性をある程度図ることができます。

確かにサンプリングでジュースなどをもらったあと、いくらまずくても「まっず!!」とか「あー微妙だわ」とかは言えませんよね…特に日本で調査するときは要注意かなと思いました。

 

このように調査する際には、「ユーザーが口にしない/そぶりを見せないようにしている、けれど見え隠れしてしまっているもの」を感じ取る力も不可欠であるということです。

オンラインでの調査テクニック(MROC)

オンラインでの調査テクニックの章では、MROC(エムロック)を用いた調査について記載されていました。

エムロックとは、マーケティングリサーチを目的として、特定のテーマに関して興味のある人に集まってもらい、一定期間議論や会話をしてもらうクローズドなコミュニティのことです。

エムロックを使用することで、場所や時間の制約がなくなり、より幅広い人に対して調査をすることができるようになります。

匿名でコミュニティを作ることも可能なため、インタビューでは聞きにくい恋愛や性、コンプレックスについてなども聞きやすくなります。

 

これは本書ではなくググって見つけた事例なのですが、エスキモーはこの手法を用いて「20-30代では朝にアイスを食べる人が多い」というデータを得て、そこから「朝ピノ」という視点で施策を打ったそうです。

markezine.jp

youtuberやvineで動画をあげている大関れいかさんを用いたプロモーションがなかなかバズっていたご様子です。。

 

 

心理マーケティングを学ぶことで、質の高いデータが得られる

ウェブサービスであっても、ユーザーを集めて調査・インタビューする機会はあると思います。

その際に、調査方法や留意点を知っていることで、より質の高い、意味のあるデータが取れるようになるのかなと思いました。

 

私自身、大学の授業や実習、卒論で調査に出向くことがありましたが、仮説の質や調査の際に用意しておいた質問の質、相手との信頼関係などによって得られるデータの質はかなり差が出ることを実感しています。

 

定量調査よりも時間的・金銭的にコストのかかる定性調査ですが、やり方によってはかなり有益で、定性調査からは決して見えてくることのないデータも取れると思うので、定性調査と組み合わせつつ、マーケの手法に取り入れていけたらいいと思いました。